カイゴのシゴト

「北風と太陽」両方になることが介護士の対人援助技術のコツ。

投稿日:2017年2月19日 更新日:

北風と太陽

言葉遣いがきつく、手荒な介護をする先輩の姿を見ながら、小さい頃に読んだイソップ童話「北風と太陽」を思い出していました。

私は太陽のような人でありたい。

初々しくも小さな理想を抱えながら勤めて15年目に入りました。

いつしか「北風と太陽」の受け止めかたに少しの変化が生まれました。

それは、いつも太陽でいることが正義ではない、ということ。

対人援助技術の基本は北風と太陽、その両方にあり。

 

温もりで包む太陽。

童話「北風と太陽」のなかで、太陽はポカポカ照らすことで旅人の服を脱がすことに成功します。

太陽の温かさを人の優しさに捉え、介護士の言動に温もりを添えるのが、太陽としての振る舞いとします。

「お風呂なので服を脱ぎましょうね。」と私が利用者に向かって言うとします。

利用者が自ら服を脱ぐかどうかは置いておいて、「あぁ今から服を脱ぐのだな。」と心の準備をしてもらう。心の準備だけでもしてもらうことができれば太陽のような対応ができていると考えていいでしょう。

「あぁ今から服を脱ぐのだな。」の前に、「なんで脱ぐの?」と思われていれば、もう少し信頼関係を築く必要があります。

太陽が旅人を照らすことで服を脱がすことに成功したように、私たち介護士は言葉の温度で服を脱がすことができればいいのです。

「なんかようわからへんけど、脱ぐんやな・・・」と。

重要なのは、介護士が言ったことをそのまま受け入れてもらい行動してもらえること。

はじめのうち、関係ができるまでは、行動を起こしてもらうのに理由が必要になると思います。介護実習で教わるように、何をするにも説明と声かけをしなければなりません。

介護を受ける人が、よくわからない介護士に体を触れられ不安に思うのは当然です。介護士は、次に何をするのか一つ一つ説明し、本人に同意を求めます。

そして、上手に信頼関係を築けていければ、初めてするようなことでも割と素直に聞き入れてくれるようになります。

そこからさらに、太陽としての振る舞いの効果は、広範囲にまで及ぶようになります。

介護士の言動は、介助をしている目の前の人にだけではなく、その場にいる人全体に伝わります。介護士の背中を見ている利用者にも伝わるものがあります。

介護される人は、他の人が介護をされている時もしっかり見ています。他の人が優しく介護されていれば、「あぁ、あの介護士さんなら大丈夫だな」とか。さらには「あの介護士さんに自分もあんな風に声を掛けてもらいたい」と思わせることもできます。いやらしい話、性格に難があって問題行動を起こすような人には、ちょっと嫉妬させるようなやり方も効果的だったりします。

 

強めにあたる北風。

忘れがちになりますが、介護士が施設の中で利用者よりも偉いわけではありません。

偉そうにできる理由などありません。

しかし、他人に危害を加えるような出来事を起こす人には、北風が強引に旅人の服を脱がせたように、少し強引に問題解決することもあります。年齢や経験、性別などは置いておいて、介護士としての立場から物を言わせてもらいます。

言葉が理解できる人にしか通用しませんが、普段のコミュニケーションがうまくとれていれば、言ったことをちゃんと理解して話を聞いてくれる人が多いように思います。

介護士として言いたいことが終われば、そこで一旦気持ちを切り替え様子をみます。

いつもいつも介護士という立場からしか声を掛けていなければ、相手も利用者としてしか言葉を返してくれなくなります。自然な姿を見せてはくれないでしょう。私は入所施設で働いていたので、できるだけお互い自然体でいられ、思ったことがそのまま言葉として出てくる関係を理想としてきました。

利用者も大人なので、よく知らない人に対しては、当たり障りのない良いことを言います。そういう言葉はあんまり鵜呑みにはせず、逆に不安に思っていることなんかをふともらした時には、その場では聞き流すふりをして、しっかり心身の状態は把握しておくよう努めます。マイナスの感情も、過剰に反応して心配すると、心配して欲しさに、依存されてしまうこともあるので。

利用者に好かれると気分は良いですが、気にいってもらうために相手の言う事を聞いてばかりいると、要求がエスカレートしてくることがあります。

好かれる介護ばかりしてしまうと相手の要求がエスカレートしてしまい、次第に振り回され自分では対応できなくなります。好かれる事で良い介護ができていると思い込んでしまう人に多いのは、そうなるとさっと身を引き他の介護士に尻ぬぐいをさせたりします。

介護士と利用者が同じ時間と場所で、共に生活していく気持ちがあるならば、先を予想することが必要です。

できないことはできないと、きちんと説明をして納得してもらう事も必要だと思います。それが気に入られなかったら別の方法を選んでもらえばいい。介護士が苦しみながら介護したって、良い介護に繋がるとは思えません。

 

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