カイゴのシゴト

認知症高齢者が言う事を聞いてくれる効果的な嘘のつき方。

投稿日:2016年11月12日 更新日:

黙ってついていく鳥

認知症高齢者は相手の第一印象で言うことを聞くかどうか決めている。

認知症になると、何度も同じ失敗を繰り返すし、同じことを言います。物が無くなると自分で無くした記憶がないから盗んだと言って本気でひとのせいにして怒ってきます。そんな時に少しでもスムーズに事が運ぶ方法を紹介したいと思います。

介護士をしていてわかったのは、記憶に障害があって過去の出来事が覚えられなくなっても、目の前にいる人に対し、何らかの印象を持つという事。

認知症を患った人にとっては、毎回がはじめての出会いとまではいきませんが、毎回が第一印象から始まっていることは覚えておいてください。認知症の相手に、悪い印象を植え付けてしまったら、自分の首を絞めることになります。

 

「まあええわ、知らんけど。」

「薬飲んだかな?」と聞かれ、「飲みましたよ。」と答える。その返事の内容が、印象によって一瞬で判断されて返ってきます。

本人は飲んだ記憶がないから聞いているのです。そして事実を伝えたところで記憶は戻りません。

一番理想なのは、「この人の言うこと聞いといたらまあええわ。知らんけど・・・。」

そう思ってもらえることです。ここで不信感をもたれていると、この返事が「飲んでない!!」となります。「飲んだ」「飲んでない」の言い合いで時間をとられ、最終的に言われ負けて、偽薬を飲んでもらったりする。一回きりで終わればいいけれど、これが習慣化してしまうと、怒ってしつこく言えば思い通りになるということが習慣化されて他のことでも怒りっぽくなったりします。

本人の性格も大きく関わっているのですが、もうボケられてしまった後では性格を直せとは言っても無理な話です。だからこちらの対応で、相手の対応も変えてもらう。これは認知症になってもできる人が多いです。

こちらの対応というのは言葉だけではなくて、ちょっとした表情や態度などを含んでいます。

認知症高齢者の対応で気を付けたいのは自分の印象。自分が与える印象を意識して関わってみてください。

 

嘘を聞いてもらうために。

認知症高齢者の相手をしたことがある方にならわかると思いますが、嘘をついたほうが物事がスムーズに運ぶ場面があります。

しかしたとえ相手がボケた老人であっても、ついた嘘を事実として受け入れてもらうのは、実は簡単なことではありません。それなりの関係を築いている必要があります。

まず日ごろ出来る限り本当のことを伝えるようにし、信頼を得られるよう努めます。

認知症がすすむと自分の身の回りで覚えのない出来事が頻繁に起こっているような状況の中で生活をすることになるわけですが、それを起こしているのは自分だとはなかなか気づくことはできません。身近にいる人のせいにすることが多いです。

嫌がらせをされているのではないかと疑っているので、不信感を抱きやすく、すぐに他人を疑ってかかります。

認知症高齢者に不信感をもたれてしまうと、以後何を言っても信じてもらえないようになってしまい、本当のことすらまともに聞いてもらえなくなります。

逆に言えば、信頼感を与えることができれば、何を言っても素直に受け入れてもらいやすくなるということです。

そのためにすることは、なるべく普段から嘘をつかないようにすること。簡単なようで意外と難しいです。

上手な嘘をつく自信のある方は、そのままで結構ですが、上手な嘘をつくというのは、サイコパスでもないとなかなかできないことです。

お世辞も過ぎると嘘の部類に入るので、なるべく相手を不快にさせないよう、正直に気持ちを伝えていくようにします。実際やってみるとなんでも正直に伝えるというのは、すごく人間力を必要とされるのがわかると思います。

認知症になっても心は残っています。相手の挙動の中に見える不審な点にはとても敏感に反応するので、不信感を抱かれないために嘘をつかないように徹します。

「この人は信じて大丈夫な人だ。」と思い始めると、自分の考えに自信のない老人は、わからないことや自信のないことをするときに、自分から聞きにきてくれるようになります。その時にこちらが言ったことに対する反応が、素直であれば信用が得られ始めていると判断できます。

そこまでくれば、ここぞというときの嘘が使えるようになります。本当にここぞというときに使って、安心させてあげてください。嘘はつきすぎると、「この人の言うことは嘘。」という先入観がすりこまれます。認知症高齢者の不信感を拭うのは、本当に難しく時間がかかります。

長い目で見ると、言うことを聞いてもらうために嘘をつき続けるよりも、本当のことを言って言うことを聞いてもらえるほうが、互いに気持ちのいい関係でいられます。

薬を飲んだことを忘れた老人に「薬飲んでないから、薬ちょうだい。」と言われ、「飲みましたよ。」と教え、「そうか。」という返事が返ってくる。

本当は、何を言ったって、薬を飲んだ記憶は戻りません。「そうか。」という、一見なんでもない、短い言葉ですが、その言葉が自然と引き出されるのには背景があるのです。

 

認知症高齢者の幸せは人を信じられるかどうかです。

認知症になってしまって、記憶力が衰え自信喪失しているにも関わらず、他人を信じることもできずに、周りに迷惑ばかりかける高齢者と関わっていると、時折介護士ですら心が折れそうになります。

逆に自分に自信がもてなくても、そばにいてくれる人に守られていると感じ、安心して他人を信頼する認知症高齢者は、身の回りに起こる(自分で起こす)不可解な出来事もうまく処理して、穏やかに生きています。

認知症の老人にとって信頼できる存在でいることが介護士の役目なのかもしれません。そう思って介護士は信頼関係を築くため、積極的にコミュニケーションをはかるわけですが、人を信じられるかどうかは、相手によって決まるだけでなく、その人が本来もっている性格によってもかなり違ってくるのだろうなということがわかります。

将来自分がボケてしまったときのためにも、人様に迷惑をかけないように、若いうちから自分の性格と向き合って暮らすことが今の私たちにできることだと思います。

認知症は人を困らすプロの技。素人が真っ向勝負したって勝ち目はありません。

介護で悩んでいるなら、専門家に相談することをおすすめします。

 

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